防音・遮音のちょっと知りたいシリーズ~遮音等級 D(Dr)値について~
防音室へのリフォームを考えるにあたって色々調べたけれど、専門的な用語が出てきて、ピンとこない……。そういった経験はないでしょうか?
防音対策をしっかりしようとすればするほど、こういった用語や数字は避けては通れないこともあり、その性能を測る単位について、知っておいて損になることはないでしょう。
今回はそんな用語の中から、遮音性能を示す用語、D(Dr)値についてお話します。
防音対策をしたいと検討されていらっしゃる方、業者に頼んで防音対策したいけれど用語が良くわからないという方は、ぜひご覧になってくださいね。
D(Dr)値とは?
D(Dr)値とは、壁や建物の遮音性能を表す指標です。
遮音性能とは文字通り、音を遮る性能のこと。隣り合う部屋同士の、遮音性能を評価する際に使われる指標で、部屋の内部で聞こえた音をどのくらい遮ることができるのか、表したのが、このD(Dr)値になります。
表記の際は、「Dr-40」など、「Dr-○○」と表記され、その遮音性能がどのくらいか、等級で確認することができます。
D(Dr)と二種類表記していますが、これは、その由来によって二種類の呼び方が違うだけで、D値とDr値は、同じものと考えてOKです。
D(Dr)値を知るには、まずデシベルから
ではDr値が、どれくらいの数値でどの程度の遮音効果が得られるのかという話なのですが、それには、音の単位であるデシベル(db)について、知る必要があります。
デシベルとは音の大きさを表す単位です。
楽器であれば、バイオリンが85db、クラリネットが90db、ピアノが95db、トランペットが100dbというのが、標準的な音量になります。
生活音ですと、テレビ・ラジオの音が60db、大音量で流すと70db程度というのが、おおよその目安です。
壁に入っていく音 -(引く) 壁を通り抜けた音
ある音が発生し、それが壁を通り抜けようとします。そこで壁そのものや遮音材の働きによって、その何割かがカットされ、残った音が部屋の外に漏れだします。
部屋の中で発生した音が、壁やその中の遮音材によって弱められ、最終的に外に出ていくわけです。
その際に、どのくらい音を弱める力があるのか、それを測定し、指標としたものが、D(Dr)値なわけですね。
実際の遮音性能の目安
それでは実際に、どのくらいのD(Dr)値でどの程度の遮音効果が得られるのか、一例をご紹介します。
D(Dr)値の目安
● D(Dr)-65……ピアノなど楽器の大きな音は聞こえず、会話やTVの音も聞こえない。
● D(Dr)-55……ピアノなど楽器の大きな音がかすかに聞こえる。TVや会話の音は聞こえない。
● D(Dr)-45……ピアノなど楽器の音はかなり大きく漏れる。TVや会話の音は、かすかに聞こえる。
● D(Dr)-35……TVや会話の音もかなり聞こえる
● D(Dr)-25……TVや会話の内容がハッキリと聞こえる
上位の等級ほど、防音性能は高くなります。
弊社で防音室を作る場合は、元々の建物が持っている遮音性能と防音室を合わせて、D(Dr)-65を目指して施工します。
注意点:低音を対策するには高い性能が必要
どの程度のD(Dr)値が必要かの目安は上記のとおりですが、音の発生源と、音の高さについて考慮することを、忘れてはいけません。
音の大きさを表すデシベル(db)と同じくらいメジャーな単位として、音の高さを表すヘルツ(Hz)があります。ピアノでイメージしてもらうと、一番低い音は27Hz、一番高い音は4200Hzあります。
防音は基本的に、低音であるほど難しくなるという原則があります。そのため、ドラムなどの低音を発する楽器を設置する場合には、よりD(Dr)値を高く設定する必要があります。
求める防音に必要なDr値を決めるのが重要
D(Dr)値は、遮音性能を表す指標で、高ければ高いほど遮音性能が良く、防音性能に直結する、といったことが、わかっていただけたかと思います。
同じ防音室を作るにせよ、ベースとなる住宅の防音性能は、壁や天井の造り、ドアや窓の種類などが各々で異なるため、最適解をケースバイケースで出していく必要があります。
専門家に相談すれば、最も費用対効果の良い形で、最も高い防音効果を得ることができます。しっかりと専門家に相談し、必要なD(Dr)値を決定してくださいね。